手話に限らず、勉強してもなかなか覚えられないことってありますね。記憶の仕組みはどうなってるんだろう、どうするのが効率のいい勉強法なんだろう、って思う(自分が)ので、忘備録として。気分で追加・修正しますのでストーリーはめちゃくちゃになると思いますが、参考にする程度に捉えてもらえたらと思います。

忘却曲線

 右の図は有名なエビングハウスの忘却曲線です(Wikipediaより引用。英語ver.のほうが詳しいです)。赤い実線は覚えたものをどれくらいの期間覚えているか調べたもので、覚えたことは1日のうちにも急激に忘却され、その後は緩やかに忘却していくことを示しています(何%覚えているかの数値については私は意味がないと思っていますので記載しません)。また、緑の実線は繰り返し学習を行えば、忘れにくくなって覚えたことが定着しますよ、ということを表しています。
 で、上記のことから単純に考えると、記憶を確かにさせるためには繰り返し学習を行うことはもちろんですが、多くを忘れてしまう前、つまり最初の数日以内のタイミングで復習することで効率的に覚えなおすことができると思いませんか(例えば0日目に覚える、1日目に1回目の復習、3日目に2回目の復習、7日目に3回目の復習・・・)。

勉強の方法

 続いて、どういった勉強の仕方が効果的なのか、ということも気になりますね。上の忘却曲線で1日で何%忘れるのかの数値に意味がないと言ったのは、忘れる速度は記憶の種類によって違うからです。例えばコロンブスがアメリカを発見した年、1492年を数字だけで覚えようとしてもすぐ忘れてしまいます。でも、「いしのくに」と意味を持たせて覚えると比較的長持ちしますよね。これと同様に、手話学習においても表現の意味を理解しながら覚えていくと忘れにくいと思われます。手話の語源を理解することが大事ですね。もし語源が分かりにくいなら、自分なりに意味を持たせて関連付けるのもコツですね。

 また、学習のやり方によって記憶に差は生じるのかを確かめた論文(Karpicke and Roediger, 2008)もあります。知らない言語の単語を40個、生徒に覚えてもらうのですが、4つの方法で行います。その日のうちにすべて覚えるまで以下の①~④のやり方で学習・テストを繰り返しました。

 ①暗記時にはすべての単語を見せ、確認テストもすべての単語で行う。
 ②暗記時には前回ミスした単語のみ見せ、確認テストは全ての単語で行う。
 ③暗記時にはすべての単語を見せ、確認テストはミスした単語のみで行う。
 ④暗記時にはミスした単語のみを見せ、確認テストもミスした単語のみで行う。

①~④のやり方ですべての単語を覚え、一週間後に再び再テストを行いました。さて、どのグループが一番高い点数を取ったでしょうか。
 答えは、①と②でした。①と②は約80%、③と④は約35%の単語を覚えていました。これからわかることは、学習はインプットよりもアウトプットのほうが重要だということです。
 手話の場合に当てはめると、本を読んだり講師の話を聞くだけだったり、動画を見たりする(インプット)よりかは、自分で手話をどんどん使っていく(アウトプット)ほうが記憶に定着しやすいですよ、ということです。さらに言いますと、グループ①と②で大した違いはないですね。ここからもさらなる勉強方法の効率化が見えてくると思います。考えてみてください。